HOW TO / WHY

ステンドグラスの制作や薬品・電気に関する技術的なご質問:HOW TO(どうやるの) /   WHY(なぜ) 
これは どうしたらいいの / どうして? というようなことがありましたら、メールにてお知らせください。
このページにて、お答えします。

     

これまでにいただいたご質問

ボトルカッターはどのように使うのでしょうか?
ガラスに穴を開けたいのですが、何か良い工具ややり方がありますか・・・
タウラス2、3を使用する時に注意することがありますか
サークルカッターの使い方を知りたいのですが                         
スコアーワンを購入しましたが、使い方がよくわかりません。    特にサークルカッター
グラスター社の新型のクリップ式替刃を使っています。使用中に刃が上に動くか、下に落ちてくるのですが・・。
アートボックスを使用してスランピングを試みましたが上手くいかず、また電子レンジもこわれてしまいました。
長いこと使用してきたルーターですが、刃が外れなくなりました
ナイトライトの差込み金具は 何故左が幅広?
ブラック・パテーナが上手くできません。どうしたらいいですか?
コッパー・パティーナを振ると、カサカサ音がします。大丈夫?
グリーン・パティーナ取り扱っていますか?
ステンドの半田部分に白いカビのようなものが・・・。どうしたらいい
半田の50:50と60:40って 何が どうちがうの?
グラスター社製のルーターの替刃と、他社の替刃は製法がちがうとか 
ネジリ花のランプがバラバラになりそうです。
カッターに厚切り用ってあるけど、何がちがう?
フュージングのガラスが割れてしまいます ガラスの膨張係数って何?

Q:タッキーワックスはどのようにして使うのでしょうか?
A:オデッセイでは、モールド、ベースのほか キャップやワックスを扱っています。
オデッセイ社では、ワックスを湯煎してハケでモールドに塗り、ガラスピースを貼り付けるという方法を紹介しています。
ただし この方法ですと、モールド一面にワックスをすることになりかなりの量が必要になります。
ワックスを指でちぎり米粒状にして丸め、ガラスにつけて モールドに押し付けるという方法を取る方もいます。
なお、最後にモールドからガラスをはがすときは、中に電球をいれる、あるいはお湯をかけて温めるなどの方法でワックスを柔らかくしてからはずしてください。

     

Q:ガラスに穴を開けたいのですが、良い方法はありますか?
A:ガラスビンに穴を開け、電気のコードを通してランプベースに使用する、あるいはフュージングなどの小物に穴をあけ紐を通してペンダントにするなどの目的でガラスに穴を開けたいのですが、良い方法はありますかというご質問を時々受けます。
質問をされる方の中には、ドリルを使って木に穴を開けるように簡単に開くものだと思われている方も少なくないのですが、残念ながら、ガラスに穴を開けるのには簡単ではなく、根気と時間がかかります。また慣れも必要です。
インターネットで、「ガラスに穴を開ける」と検索すると http://www5a.biglobe.ne.jp/~kitamiki/hole.html がヒットしました。画像も多く、とてもわかりやすい解説で、参考になると思います。
当社で扱っている工具でもグラスターやインランドのルーターに1/8のダイヤ刃を付けて穴をあけるという方法もなくはないのですが、もともと穴あけ用として作られた工具ではないこと、水の補給がスムースには行えないなどの欠点があります。「当社扱いの工具でこれならオススメ」というものは、残念ながら現在のところありません。
また皆様の中で、こうすれば 「ガラスに簡単に穴があく」という方法があれば お教えいただければ幸いです。
その後、「ガラスを細かく加工したい」、「穴を開けたい」というお問合せを何件かいただきました。回転数がゆっくりと出来るもの(早すぎるとダメなので) 使いやすく、しっかりできているものとして、右画像のプロクソン・ミニルーターDX511(28511)の取扱いを始めました。
下がメーカーの ホームページです。その中に使用方法が載っています。

http://www.kiso-proxxon.co.jp/catalog/ru_00.html


メーカー品番 28511 :税込み \17,010-
35W 回転数調節可能 ,8000〜18000/分
全長22cm、重さ250g 刃は別売りです


Q:リングソー タウラス3を求めました。使用する時どんなことに注意すればいいでしょうか?
tau3in.jpg (15908 バイト) 基本的な使用方法はタウラス2と同じですが、タウラス3の大きな特徴は、作業台からはずして手に持って作業が出来ることでしょう。

手持ちで使用する時は次の部品を使います。
A.ドアクリップ B.FOOT C.下部のカバー(ボトムカバー)
ドアクリップと、FOOT(足)の写真は、英文解説のP2をご覧ください。ボトムカバーの形はP14を参照してください。 ドアクリップ、FOOT,ボトムカバーの取り付けはP14,P15にあります。
なおボトムカバーを付ける前に、カバー内側のスポンジに水を含ませてください。手持ち作業の時には、このスポンジに含ませた水が刃を冷やし、また刃についたガラスを取ります。スポンジは時々はずして水で掃除し、新しい水を含ませて使用してください。P14右上参照。

作業台に取り付けて使用する時は
部品(A,C)ははずしてください。Bは取り付けしたまま。
作業台への取り付図は、P3を見てください。作業台に取り付けるときは、水につかる部分(下半身)の片面がむき出しになります。こうすることで、刃が水に漬かり、掃除と冷却が行えます。
タンクは中に水を張って使用します。水は、タンクで示された位置まで入れます。P7参照。
しばらく使わないときは、水を抜いて掃除してください。

作業台は穴に指を入れ、手前に引き上げると外れます。ダイヤ刃の取り付け方法はP9-10にありますが、左図の7のグループ(溝のついた輪)のネジを緩め、右にずらしてから刃をはずします。
左図の1〜5はプーリーのパーツです。6〜7はグルーブ。この間をダイヤ刃が通ります。13はFOOT(足)。これは手持ちの時のみ使用します。作業台で使うときははずしてください。
セパレートブレードを使用する時は、必ずメス側が下になるようにします(P11参照)。

Q:リングソー タウラス2を求めました。使用する時どんなことに注意すればいいでしょうか?
A:付属の英文解説ですが、図解が多くわかりやすいものになっています。とはいえ、注意することなど箇条書きで記しました。
(1)出来るだけアースがとれるコンセントを使用してください。掃除をする時や刃の取替え時はコンセントを抜いて作業してください。
(2)保護メガネなどで目を保護してください。
(3)タンクには水を線の位置まで張って使用します。また左側に氷を入れてください。ダイヤ刃が長持ちします。
(4)切るときはゆっくりガラスを押し付けてください。力を入れすぎると、刃の消耗が激しくなります。特に後退させるようにカットするときは
  ゆっくりと作業してください。
(5)掃除はスポンジを使ってください。布が周囲にあると、刃の部分に巻き込むことがあります。

(6)水はきれいなものを使ってください。(穴に指を入れ、作業台を手前に引くとはずれますので、タンクの中が掃除できます)
(7)Grommet(グラメット:はとめ)は、刃を正しく位置させるものですが、最初は刃のダイヤが新しく粗いため、早く消耗します。
(8)グラメットの取り付けは下図のようになります。交換などで刃をグラメットからはずすときは、L型のブラケット全体をはずし、その後
  グラメットのネジを緩めてからはずしてください。
(9)予備の替刃をお求めになると、替刃のほか赤グロメットが4個。黄色のものが3個。切れ込み入のホール・リジューサーが2個付きます。
tau2gromet.jpg (13857 バイト)

それぞれの耐久時間
赤のグロメット
3-5時間。刃が消耗したら8-20時間。
黄色のグルーブ(溝付きリング)
40-60時間。刃の交換時に交換。
黄色のホールリジューサー
赤いグロメットを交換した時に交換。


Qグラスターのサークルカッターの使い方を知りたいのですが。

A:サークルカッターは円を切ったり帯状にガラスを切ったりします。

円を切るときは、三角形のものを中心にし、好みの大きさの場所にカッターの刃を固定し、円を描くようにして切ります。切ると言っても、ガラスカッターはキズを付けるものなので、そのあとプライヤーなどでガラスを割る(引き離す)必要があります。

帯状のものを切るときは、台の端に長い木を打ち付けます。(これにガイドを沿わせる) 左画像の左側にある飛行機のハネのようなもの、これがガイドです。任意の幅のところで刃を固定してガイドにそってガラスを切ります。左画像では上から下に向かってカッターを動かす。この帯状に切るカッターをストリップカッターと呼びます。応用することでダイヤ型のガラスをたくさん切るのも可能です。

Qスコアーワンを購入しましたが、使い方がよくわかりません。

score1.jpg (14061 バイト)
作業台の上に固定すると安定した
作業が出来ます

score1-01.jpg (9172 バイト)

A:ガラスカットには2つの方法があります。
1つはガラスを削る方法。もう一つはガラスにキズを付けてヒビを入れ、割り取る方法です。前者の代表がダイヤモンドバンドソーやウォータージェットを使うもの。また後者の方法がガラスカッターを使うものです。

カッターといっても紙を切るカッターとは違いますので、カットしたところからすぐに2つに分かれるという訳ではありません。キズやヒビの入った部分を引っ張りプライヤーなりランニングプライヤーで割る(引き離す)必要があります。

このキズやヒビを入れることを英語ではScore=スコアーを入れるといいます。(日本ではニュウ=乳を入れるといいます。) このスコアーワンは文字とおりそのスコアー(キズやヒビ)を入れるための工具です。                
                ============

使い方
@スコアーワンを板などの上にネジ留めし、固定します。そうすることでしっかりと安定させて使用することができます
A刃に付いている白いモール状のものの先にカッティングオイルをつけ、刃の上にあいている穴に通して掃除をします。こうすることで、刃や軸にオイルが付き、カッターの刃の回転がスムースに行くようになります。(この作業は時々行ってください)
B切るガラスの厚みに応じて、白いツマミを調節します。赤いツマミは、刃の押える力を加減するものです。

C左側に出ているレバーを下げると刃が上がります。ガラスをはさむ時は、必ずレバーを上げてください。レバーを上げずに、横からガラスを差込ようにすると刃の耐久性が落ちます。
D切りたいガラスをはさみます。
E左手でハンドルをゆっくり回します。
Fスコアーが入った部分をたたいたり、ランニングプライヤーを使って引き離します。
                     ======
●表面が平らで切りやすいガラスから、徐々に慣れていってください。●音が静かで、座っても作業が出来る。常に一定の力で、カッターの刃部分に力が入る。などの利点があります。 ●替刃は別売りで販売しています。


 詳しくはメーカーのホームページ(英文の使用説明書)↓を・・・
 http://www.inlandcraft.com/Uguides/UGscoreone.htm

参考:「乳=にゅう」って何? → かんにゅう【貫乳】
1 陶磁器の釉(うわぐすり)の表面に、割目のように細かくはいったひび模様。乳(にゅう)。罅入(かにゅう)。2 品物などにひびが入ること。また、そのひびや疵。


Q (Kさん) クリップ式の替刃を使っていますが、刃が上に動いてしまいます。
    (Nさん) 新ビットのルーターを生徒さんが使用していますが、刃がストンと落ちてしまいます。何故でしょう。
bar08.gif (335 バイト)
A:グラスターのG14と新しいG12には、このクリップ式が使われています。

旧タイプの刃は、止めているネジが外れず、刃が取れなくなるというトラブルが少なくありませんでした。またダイヤ刃部分が消耗しただけなのに、刃全体を取替えなくてはいけないなどの問題点もありました。これを改良したのが現在のクリップ式のビット(=ダイヤ刃)といわれています。

クリップ式は刃の着脱が簡単なこと(メーカーではクイック・フィット・ビットと呼んでいます)。 刃が減れば、その部分(指輪状の輪の部分)だけを取り替えれば良いなどの利点があるのですが、反面、今回指摘されたような問題点も報告されています。

このクリップ式の刃を概観したのが左側の画像です。また指輪状のダイヤ刃部分をはずし、オレンジの頭のついた白い部分(アダプター)を示したのが右の画像です。頭を倒すと、おなかの腹巻状の部分がやや出っ張ることがわかります。この出っ張りで指輪状の刃を内側から押えています。

クイックフィットビット アダプターと3/4のダイヤ刃のセットです

クリップ式替刃
オレンジ色の部分を上に
上げると刃が緩み
取り替えられる

 
クリップを緩めたところ

クリップを倒して締めたところ

緩める 倒すと
おなかが
出張る
  
この出っ張る部分のゴムを見て見ますと、硬質ゴムではなく、やや粘り気のある軟質のゴムが使われています。
ルーターを回転させ、強い力でガラスをダイヤ刃部分に押し付けると、クリップ本体はルーターの軸と共に回転する一方、ガラスが押し付けられたダイヤ刃部分は、ガラスとの摩擦でそこにとどまろうとしますので、どうしてもその柔らかいゴム部分にねじれが生じます。
この状態で長時間使用を続けると、やがてゴム部分が横に引っ張られ、次第に出っ張り部分が痩せていくということになります。

ダイヤ刃自体とすれば、なるべく抵抗の少ない方へ動こうとしますので、出っ張りの少ない上に行くか、下に下がるかということになります。

主な原因は「メーカーが想定した以上の力でガラスがダイヤ刃に押し付けられているため」と思われます。早く削ろうとするあまり、力を入れるとこのような状況が生じます。ダイヤ刃の替えはあるのですが、残念ながらメーカーでもこのアダプター部分だけの販売はしていません。力の加減をしながらゆったりとした気持ちでルーターを使用することをオススメします。なお、このクリップ式が付いているルーターでも、以前の替刃が使用できますので、慣れている刃のほうが良いという方は、旧型の刃を使われるのも一つの方法です。

Qスランピングがうまくできず、おまけに電子レンジが壊れてしまいました。
アートボックスを使用してスランピングをやってみました。ガラスはスペクトラムで、まず3分焼いて一度取り出し、ふたを少し開けて見たら、全然変化していなかったので、更に5分焼くようにセットし後1分位で終わるという時に、いきなりパーンという音がしたと同時に火花が散り、レンジが止まってしまいました。アートボックスの中を見ると、ファイバーペーパーは黒くなりアートボックスの台座も黒く焦げたような感じになっていました。モールドの代わりの小皿はそのままで、その上に乗っていたガラスはバリバリに割れ、全然曲がっていませんでした。レンジも壊れた感じで電源が入りません。私のやり方に問題があったのでしょうか? レンジは加熱・定格消費電力 1300W・定格高周波出力 650W。オーブン機能付きです (Sさん)
bar08.gif (335 バイト)
A:よく「スランプ」になったと言いますが、熱を与えてガラスに「落ち込み」をさせることを「スランピング」といいます。具体的には、モールド=型の上にガラスを載せ熱することで、ガラスが型に沿って曲がることをさします。
さて、今回はSさんにご使用のアートボックスとモールド代わりのお皿を送っていただき、再現実験をしてみました。

結論からいうと(当社の)電子レンジにも、アートボックスにも異常はなく、ガラスも3つのうち2つは綺麗に曲がりましたが、1つは熱の周りが充分でなかったようで、まっすぐのままでした。なおモールドとなる陶器が割れてしまいました。
(ファイバーペーパーやアートボックスの台座が黒くなるのは通常のことなのご心配はいりません)

以下が 今回の「再現実験1」を画像でたどったものです。なおモールドとなるお皿を他のものに換えて、「実験その2」を近日中に行います。また、なぜSさんの電子レンジが壊れてしまったかを次回に考えてみたいと思います。
01.jpg (6083 バイト)
キルンウオッシュ(離型剤)に

水を加えモールドになる陶器
にはけで塗る。
02.jpg (4587 バイト)
キルンウオッシュが充分に乾燥してから
モールドの上にガラスを
乗せる(スペクトラム)
03.jpg (6642 バイト)
電子レンジにセット
この上にフタを載せる
05.jpg (6188 バイト)

ガラスが柔らかくなる750度程度
を目指し、13分にセット。

(書籍「電子レンジでガラス胎七宝」を
参考にして時間を設定しました)
06.jpg (8206 バイト)
加熱終了後、フタを開けてみたら、
モールドの陶器が割れていた。
08.jpg (6684 バイト)
右2個は、スランピング成功。
左1個は、ガラスがまっすぐのままであった。
A-2-:前回(上記)の続きです。

当社がテストした限りではこのアートボックスを使ってのスランピングやフュージングは問題なく出来るようです。一方、Sさんからはその後、「通っている教室の先生やスタッフから『多機能電子レンジを使うと壊れることがあり、特にサーモスタット部分に破損があり機能しなくなる』ということを聞きました。家庭で使われている電子レンジは、多くの場合多機能だと思いますが、もしアートボックス専用の電子レンジが別に必要だということであれは、むしろ小型の窯を買ったほうが良いということにならないでしょうか。」 という旨のメールをいただきました。

電子レンジとアートボックスの相性について、アートボックスを製造しているメーカー(旭物産梶@0561-54-7501)に電話にて問い合わせてみましたところ、以下のような回答を得ました。

(1)アートボックスの本体はセラミックス製の断熱材と、電波吸収部(内側の黒い部分)からできています。
(2)アートボックスを使用していて電子レンジから火花が出たという報告は今まで聞いたことがありません。
スパークするという現象は、電子レンジの中に、何らかの金属がある場合に起きる現象です。中に金属片があったなどの心当たりはないでしょうか?
 (参考:電子レンジに金属は何故ダメか → http://www.chemistryquestion.jp/situmon/shitumon_kurashi_kagaku28_microwave_metal.html )

(3)アートボックスで電子レンジが壊れたという事例は聞いています。それは加熱後アートボックスを電子レンジから取り出さず、熱で電子レンジの天井部分にあるサーモスタットが壊れたり、樹脂製のターンテーブルが変形するといったケースです。加熱したアートボックスは、電子レンジの中におかず、外に取り出して徐冷してください。また多機能レンジですと、センサーなどが働き、うまく機能しない(温度があがらない)ことがあります。

なおメーカーからの取扱い説明書(アートボックスに添付)には、次のような点が上げられていました。

1:使用前に空焼きして、断熱材の湿気をとること。また空焼き後は、アーボックスが充分に冷えてから使用すること。
2:加熱すると850度ほどになるので、軍手などを使用すること。

3:加熱後のアートボックスは、石膏ボードなどの断熱材の上にのせること。
4:加熱昇温後は、電子レンジ内に放置したまま冷却しないこと。(回転ローラーやサーモスタットの故障原因)
5:離型紙などを用いること。(使用しないと、溶けたガラスがアートボックスに溶着する)
6:単機能レンジが最適。多機能レンジの場合は切り替えスイッチを強にすること。
7:重量センサー付きのものは、充分な電波出力が得られず、使えないことがあること。
8:なるべく食品調理用のものと兼用しないこと。

今回わかったこと
電子レンジの取扱い説明書を読むと、食品以外は入れないでくださいとあります。これは、食品以外の何かをいれて故障や事故があった場合、電子レンジのメーカーとしては想定外の使用ということで責任を負えないということを意味しているようです。
一方、アートボックスのメーカーでは、電子レンジの基本的な機能を前提にしてアートボックスを作っており、家電メーカーがどのような多機能レンジを作るのか予測・対応ができないと共に、多機能のものだとアートボックス本来の性能が充分に引き出せないと考えているように思いました。

このようなことから、アートボックスを使用するには、コンビニなどのお弁当温め用の、安い単機能電子レンジがオススメということになるようです。メーカーや販売店(当社)なども、購入される方にこの点を明示する必要があると感じました。

今後はアートボックスを購入される際には、この点を含めた注意書きを用意したいと存じます。また最近は「雪ん子」のように\50,000-程度で入手できる温度計付きの電気窯もあります。お客様の今後の使用状況などを検討しながら、こちらの方をオススメすることも大事かと考えています。


Qルーターの刃がはずれません。
A:ルーター替刃のネジが外れない。ネジは外れるがビットが外れないという話を良く聞きます。まず以下のものを用意します。

  L型6角レンチ :ルーター付属のもの
  スパナ           :水道工事などに使用するもの (ウオーターポンププライヤー)
  CRC556         :潤滑油

手順
1、ルーターの刃の周りをよく洗い、取れるガラスの粉などは取っておく。
2、CRC556などの潤滑油を吹き付けて、とりあえず ふやかす。
3、6角レンチで、ルーターの刃のネジを緩める。
4、軸の上と、替刃の下を、モンキースパナではさみ、力を入れる。
5、軸をまわしながら、何回か試みる。
6、こうすると、替刃が徐々に動き、軸の上の方に移動します。
7、軸の上部と替刃の高さが揃ったところで、この手は使えなくなります。
  まだ外れないようであれば、軸の径よりもやや小さなネジなどを軸の上にのせ、この
  ネジと替刃の底部をプライヤーで挟み込み、力を入れる。

  軸が曲がっていない限り、この方法で替刃が軸から外れると思います。お試しください。

mon02.jpg (10277 バイト)

刃の下側と、軸の上を
はさむようにする


Qフュージングをしてみたいと思い、アートボックスを購入しましたが、ガラスが割れてしまったり、ガラスによっては、色がにごるようになることがあります。どうしたらいいでしょうか?また膨張係数が合わないという話も聞きますが、これはなんでしょう? 
bar08.gif (335 バイト)
A:暑さで鉄道のレールが曲がったという話を聞いたことがあると思います。ガラスも、同じように熱を与えると膨張し、冷やすと縮むという性質を持っていますが、その膨張の度合い(=縮まりの度合い)はガラスによって異なります。膨張係数は、温度が1度上がったときにどのくらい体積が膨張するかという割合を示したもので、10-7(10のマイナス7乗)の単位であらわされます。さて、今2枚のガラスを重ねて窯の中にいれ熱を与えて溶着したガラスがあったとします。温度が冷えるにつれガラスは縮まりますが、その割合が異なると溶着面で引きつれ(ストレス)が生じ、やがて割れてしまいます。この場合、膨張係数が合わない ということになります。

とはいえ、ステンドガラスの色板を作るメーカーでは透明や白のガラスに赤や青、黄色を入れて作りますので、膨張係数が合わないと製品としてなりたたないことになります。そのため通常は同じガラスメーカーのガラスは膨張係数を合わせています。たとえばスペクトラム社のカラーチャートを見ると、「スペクトラム社では、特にフュージング用という特別な製造ラインがあるわけではなく、全てのガラスを膨張係数(Thermal Expansion Coefficient=TEC) 96に揃えている」という記述があります。(新しいカタログでは、膨張係数を96にそろえたシステム96を専門的にとりあげた記述になっています)。 ブルザイのように90にしているところ、ウロボロスのように90と96の2つのラインをそろえているところもあります。下表は主なガラスの膨張係数を示したものです。

パイレックス
(耐熱ガラス)
ブルザイ/ラインバッハ ウロボロス クーグラー スペクトラム ヴィーゼンタール 板ガラス モレッティ 七宝釉薬 佐竹 喜南鈴(キナリ)
32 90 90 / 96 93 96 98 90-100 104 105 120 128

コンパティビリティ(膨張係数が合っているか)の確認
同じメーカーのガラスは一般的に膨張係数が合っていることが多いのですが、他のメーカーのガラスどうしが問題なくフュージングできるかを知るためには、自分なりのテストサンプルを作ってみると良いでしょう。その時は大丈夫に見えても、1週間後、1月後に割れるということもあります。なお、偏光板を使うとフュージング(融着)したガラスのストレスを見ることができます。

test.jpg (14878 バイト)

stress00.jpg (11862 バイト)

ware.jpg (9800 バイト)

イロイロなガラスをテストしてみる。
右のグレーの色は偏光板

ガラスのひずみを見るには2枚の偏光板の間にガラスを置いてみる。環円状に白く輝いているところにストレス(ひきつれ)がある

結局は割れてしまった。
デザーク(透明)にミルフィオリ
の組み合わせ


また温度管理などでガラスの発色を行っている赤や黄、オレンジなどは、再加熱することで、元の色と違ったものになったり、色がにごったりすることも少なくありません。

手持ちのガラスを自分なりにテストし、記録を残しておくといいでしょう。

Q:ガラスカッターに、厚切り用というのがありますが、どこがどうちがうのですか?
bar08.gif (335 バイト)
A:当社では、ダル・ド・ベールという20-30mmの厚板ガラスを切るものとして1360:TC600RR \5,400- というものを扱っています。
一方、1350R:TC600PR(3-5mm用)というものがあり、メーカー品番や形もよく似ていますが、最大の違いは「刃の角度」です。

ガラス業界では、昔から、使い込んで刃がやや磨耗してきたカッターを使うと厚板ガラスがよく切れるということを経験的に学んできていました。 下表はガラスの厚みと、それに適した刃の角度関係を示したものです。
刃の角度(とがり具合) 100度 120度 125度 130度-138度 150度 155度
それに適したガラス厚 1mm未満 1-2mm 1-3mm 3-7mm 8-20mm 10-25

簡単に言うと、鋭い刃(角度が小さい=薄板用)、鈍い刃(角度が大きい=厚板用)となります。カッターのメーカーでは、切るガラスの厚みや、直線用または曲線用かで、刃の角度を変えています。

 →  切断したいガラス厚とそれに適した、カッターの刃先角度 もっと詳しく


Q:金属部分を銅色にするコパーパティーナや、黒くするブラックパティーナは手に入るようですが、緑青のような色を出す「グリーン・パティーナ」というものがあると聞きました。入手できるでしょうか?(名古屋・T様)

bar08.gif (335 バイト)


協力あり / 協力なし

A:このご質問もよくいただきますが、当社では商品としてのグリーン・パティーナを取り扱っておりません。また入手方法もわかりません。 ( どうも 緑青液という名前で売られているようです。 )
「猫のお小水で代用できる」という俗説もありますので、近所の猫に協力していただいて実験をしてみました。左画像の左側が、「協力をいただいたもの」、右が「協力をいただかなったもの」です。「協力あり」のほうが、ほのかに緑色になっています。基本的には、これはこれで良いのでしょうが、皆様にもオススメできる方法とは言えません。

WEB上を検索したところ、銅器屋さんのホームページで、「青銅色は硫酸銅・塩化アンモニア・等を混ぜた溶液を布巾にて10回ほど拭く」という記述を見つけました。

http://pnet.moo.jp/seido/chyo5/sagyo.htmのページです。また、銅の胸像を製作されている方のHP
http://www.tamabi.ac.jp/mc/mc5/010/koinuma-koubou02.htmで緑青加工が紹介されています。
ある方から、より具体的に教えていただいたのが下記です。試された方、結果をお教えいただければ助かります。


まず銅緑青色用の下色液と本色液を用意する 配合は次のとおり

下色     蒸留水 1000cc 硫酸銅 135g、  酢酸 45g、  塩化ナトリウム 25g

------------------------------------------------------------------
本色   蒸留水 1000cc  酢酸銅 30g、  硝酸銅 10g、塩化アンモニア 5g、明礬 3g
      塩化第二水銀 3g、


着色の方法


@着色する面の表面を酸洗いなどで、完全に油分を取り除いておく。A下地の液を刷毛や布で、まんべんなく塗りつける。
Bしばらく置き、やや黒褐色に変化したら水洗いして乾かす。C乾いたら、本色を同様の手順でむらなく塗りつける。
  
この方法は日光の紫外線に反応して着色する方法なので日光のあたる場所で行う。表面をヤスリやサンドペーパーなどで荒らすと、よく色が残る。

D着色後、よく水洗いをし、乾かして色止めのラッカーを塗るく。


Qコッパーパティーナを使おうとしたら、筆の先になにか付いているような感じになっています。また容器を振るとカサカサ音がします。
これは なにでしょうか? ブラックパティーナなどではこんなことはないのですが。 このままで使えますでしょうか?(盛岡・M様)

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A:半田部分を銅色に着色するコッパーパテーナは、基本的には硫酸銅(CuSO45H2O)の水溶液です。蒸留水を加熱し、その中に硫酸銅(青い結晶)を溶かして作ったものですが、温度が低くなると、過飽和の状態になります。特に寒冷地などでは、硫酸銅が溶けた状態ではいられなくなり、なにかのきっかけで結晶化をはじめます。大気も温かいうちは、たくさんの水蒸気を含むことができますが、気温が下がると、空気中にいられなくなり、霧や雨、雪となり、更には樹木の枝に氷つき 樹氷となるというのと同じしくみと思ってください。 この場合は筆が、樹木の枝の役割を果たしたものです。

硫酸銅の結晶化は、中学の化学の実験でもよく行われるもので、「そういえば」と思い出された方も多いと思います。

これを70度ほどのお湯を張った洗面器に、容器ごと立てておくと元のように戻ります。このとき、ふたをやや緩め(空気が抜けるよう)にしておいてください。なお、容器の底に、白いヒゲ状のものが見つかることがありますが、容器を振ったとき、結晶の一部とともに抜けた筆の部分ですので、特に問題はありません。

一方、透明のブラック・パティーナは、硝酸と2酸化セレンの水溶液なので、結晶の形で目に見えることはありません。


硫酸銅(CuSO45HO)
の結晶


Q:クリスマス展用にナイトライトを購入しましたが、5Wでは暗い感じがします。10Wや20Wの電球に取り替えられないでしょうか?
またコンセント部分の片方(左側)が大きく、これでは差し込めないのではないでしょうか。(静岡・H様)

bar08.gif (335 バイト)

A:おやすみソケット(国産)やナイトライト(輸入品・金具が一面タイプ)に付属している電球は5W前後です。

作品展などの会場では、5W球ですと、他の作品のベースなどに付いている25W球や40W球と比べて暗い感じがするのだと思います。しかし長時間点灯しても安全なように定格では5W程度の電球を使用するようになっており、当社もその規格にあう電球をお付けしてのセット販売をしています。

また「差込み部分の片方が長く、差し込めない」というご指摘ですが、「築100年以上の旧家」といったお宅を除き、大半のご家庭の壁の埋め込みコンセトは、現在、右の画像にあるように左側がやや幅広になっていると思います。一度、ご自宅のコンセントを、お確かめください。なお電気関係の法規では、右が電源側(プラス側)、そして左の幅広は接地側(マイナス)になるように工事をすることと決められています。なお、それを内側から見たのが下の画面です。

ナイトライトは構造が単純で、特に極性(どちらがプラスでどちらがマイナスか)を問題にすることなくご使用できますが、左側が長くなっているため、逆挿し(ぎゃくざし:上下さかさまにつけること)防止の役割をはたしています。

差込み部分を加工して削ると、あやまって逆挿し(電球を下)にして使用する可能性が出てきます。このような状態で熱量の大きな電球が長時間にわたり使用された場合、電球の熱がソケット部分を溶かしたりするだけでなく、最悪の場合火災が発生するといった危険性もあります。

安全にお使いいただくために、5W球。またナイトライトの差込みの左側が長いのは逆挿し防止のためとご理解ください。またプレゼントする相手の方や、購入される方にも、この点をよくお話いただければと思います。

なお「作品の見栄え」や「販売」を優先して本来安心してご使用できるようになっているものに手を加えると、思わぬ事故につながることがあります。ご注意ください。




壁の埋め込みコンセント
の例左の方が細長い


壁の内側から見たところ
右側(そとから見ると左側)
にWのマーク。

こちら側に接地側のWhite=
白いコードを結線する。


Qブラックパティーナがどうも上手くできません。やり方になにか秘訣があるのでしょうか?

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A:ブラックパティーナは真鍮・半田・鉛線などの金属を黒くする薬品ですが、使い方についてのご質問をよくいただきます。

求められる結果(色やつや)などがお聞きになる方によって異なること。またお電話やメールでは、作業の手順や環境、作品の状態など実際に見ることができないため、なかなかお答えしにくいところでもあります。

お料理と同じで、同じ食材や調味料・調理器具を使い、同じようにやったつもりでも、人によって出来上がりの結果が大きく異なるものになる」 と表現したらわかりやすいでしょうか?

            ここでは 「こうするとブラックパティーナが、うまくいかない というポイントをいくつか挙げてみます。

パティーナをする半田部分が酸化したり、手やペーストなどの油脂がついている。
目に見えない酸化膜や油脂があるとパティーナがうまくのりません。水と洗剤で油脂を洗い流したり、あるいはスチールウールなどで、金属部分を良く磨いてください。

同じブラックパティーナを繰り返して使う
ブラックパティーナは、ビンから小皿などにとりわけ、常に新しいものを使ってください。残ったものをビンに戻したりするとビンの中の新しいものまでダメになりますので、避けてください。

温度が低い
ブラックパティーナが金属部分を黒くするのは「一種の化学反応」です。化学反応を促進するには、温度がポイントになります。
作品を良く洗う際に、やや熱めのお湯を用い、からぶきしても作品自体がまだ温かいというような状態ですと色が上手く定着します。またボンスターなどで力をいれて磨くと、金属部分を剥き出しにするだけでなく、摩擦熱でその部位を温める効果もありますのでこの方法もかなり有効です。

目的にあうパティーナを使っていない
ブラックパティーナにも、半田用、半田・真鍮用、半田・鉛用など目的に応じていくつかの種類があります。ブラックパティーナでよく使われているものは、硝酸と二酸化セレンを水で薄めた(無色の)水溶液ですが、このほか、硫酸銅が含まれたもの(やや青い色の水溶液)もあります。この場合は、出来上がりがやや赤っぽい感じ(銅の色)になります。ご自分で、イロイロ試されると良いでしょう。(調味料と同じで、自分の好みは人それぞれです)

筆やハケで塗っている
金属の表面が良くみがかれた状態ならこれでもよいのですが、そうでないと目に見えない酸化膜が生じていることがあります。ボロ布や、スポンジなどでこするようにして着けてください。

パティーナをしたあと、拭いたり、洗浄したりしない
よく洗浄しないと、金属の表面が白っぽくなったり、またパティーナのついたガラス部分が銀化したりします。

フラックスやブラックパテーナの使い方は、教室によって、また教える先生によっても違います。それぞれのやり方を目の前で習いながら、自分なりの方法を見つけてください。


Q値段が安いので中国製のルーター替刃を購入しました。

初めはグラスター社製品よりむしろ切れ味が良いくらいだったのですが、すぐに削れなくなりました。刃の減りが早いような気がします。

値段が安いのは、品質が劣るからということなのでしょうか?

A:グラスター社の替刃にくらべ中国製は半額程度。また刃の耐久性も劣ることは確かです。

とはいえ、これは「価格が安いから良くないもの」というより、むしろ製法の違いといったほうが理解しやすいと思います。右に製法とその特徴を記しました。

なお、ルーターの替刃で現在メタルボンド法を採用しているのは当社が知る限りグラスター及び国産ダイヤ刃だけです。


それぞれの製法・特徴をご理解の上、ご使用ください。

製法

構造

特徴

メタルボンド法 Metal Bond
(グラスター社・国産ダイヤ刃)

金属粉(結合剤)とダイヤの砥粒を、糊となるものとよく混ぜて練り、軸となる本体に付着させ、窯で焼成・焼結する。

金属粉が熱で溶け、ダイヤの粒が金属の間に埋まるような形となる。

なお糊の役割をした成分は、焼成途中で焼失する。

電着法にくらべ、ダイヤ砥粒のでっぱりが少ないので、「切れ味が優れている」とは感じにくいこともあるが、表面が減るにつれ中から新しいダイヤ砥粒が次々と現れるため、長期にわたり同じ調子で研削できる。

耐熱、対摩擦性に優れている。

焼成コストなどがかかるので、価格は高めになる。

電着法  Electroplate
(インランド社製品や中国製品など)

一種のメッキ法。→ メッキの原理

替刃の本体になる金属をマイナスに、ダイヤ(実際はダイヤは電子の結束が固く、自由電子がない絶縁体となっているため、ダイヤ砥粒を運ぶキャリヤー)をプラスにすることで、ダイヤ砥粒が替刃の本体に付着(電着)する。

耐久性を増すため必要に応じて多層にすることがある。

ダイヤ砥粒が表面に出ていること、また砥粒の表面密度が高いことから、初期の研削性能は、メタルボンド法より格段に優れている。

反面、表面のダイヤ砥粒がはがれると、そこで寿命が尽きるので、メタルボンド製法に比べ耐久性に劣る。

安価・大量生産で経済性に優れる。

Qねじり花 を作っていますが、キャップのところのおさまりが上手くいきません。半田でつなげる接点が少なく、しっかりとした感じになりません。どのようにしたらいいでしょう。


A:単純な型紙ですが、制作者により広がりが違ったものになるだけでなく、半田できる接点が少なくて下手をするとバラバラになりそうです。このような時は、見えない部分に補強を入れるのも一つの方法です。右の例では小さなキャップ(3077:真鍮キャップ38mm)を内側に入れ、2枚のキャップではさむようにして仕上げています。


Q:半田に60/40とか50/50とかありますが、何がどう違うのでしょうか?また どちらの方がいいのでしょうか?

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Aステンドグラスで使われている半田ですが、これは、錫:すず(Sn)と鉛(Pb)の合金です。当社では錫と鉛の比率が60:40のものを「ろくじゅう・よんじゅう」の半田、あるいは 「ろくよん」の半田と呼んでいます。 (JIS規格ではH60と表記)。
このほか50:50のもの、(錫)63:(鉛)37のものがありますが、その最大の違いは融点(溶ける温度)にあります。

一般に金属の融点は原子の結びつきの強さによって決まります。
種類の違う金属で合金を作ると、融点が上がる場合と下がる場合があります。錫の融点はおよそ232℃。また鉛の融点はおよそ327℃ですが、面白いことに錫と鉛の合金である半田は63:37の割合の時、融点がもっとも低く、およそ183℃となります。この成分比の半田を特に共晶(きょうしょう)半田といいます。この共晶半田は作業性が良いだけでなく、せん断強さや引張り強さなどの物理的特性も優れているという特徴を持っています。

鉛は安価で、錫はこれより高価なため、錫の割合が高くなると値段は上がりますが、共晶点を越して錫の割合を増やすと、かえって融点が上がりますので、一般的には63:37の半田がもっとも価格的に高いものと言ってよいでしょう。多くのステンドグラス工房や教室では実質的な共晶半田である60:40のものが最もよく使われています。

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初心者などでは、「作業の手が遅く、半田ごての温度が上がりすぎてしまう」、あるいは 「ガラスカットが正確でないため、隙間が出てしまう」という理由から半田がポタポタ下に落ちてしまうことが見受けられます。 このような場合、「融点が高く、価格が安い50:50の半田を用いる」という方もいますが、当社では 作品の仕上がりがきれいな 60:40に早く慣れることをオススメしています。作業には、温度調節機能の付いた半田ごてや、供給電圧を調整するミニ・コントローラーなどを使用すると便利です。

半田についてもっと、詳しく知りたい → http://www4.org1.com/~kitt/craft/fan/solder/index.html


Q:前に制作したステンドグラスに白いカビのような粉が吹いてきました。これはなんでしょう? 取れますでしょうか。(千葉・S様)

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腐食性が少ないことを売り物にした
ノコロデ(NOKORODE)・ペースト
NON-CORRODE(非腐食)が名前の由来

かびが生えたようになった
半田部分

8961:ノコロデ 48g
8960:ノコロデ工房サイズ480g
成分表

  参考:corrode:kォro@ud】【名】腐食【自他動】侵食する、腐食する、^徐々に[次第に]^蝕む


A半田をするときに使用したフラックス(活性剤)の残渣(ざんさ=のこり)がきれいにとリ切れていないことが主原因です。

フラックスには、@金属表面の酸化物を除去・洗浄する役目のほか、A半田作業中、半田と空気の間に膜をつくり、酸化を防ぐ B半田の濡れ性を良くする(界面張力をへらし、半田が広がるようにする)といった役割があります。これら目的を果たす液体フラックスとして一般に塩化亜鉛の水溶液が使われています。しかし半田後の洗浄が不十分ですと、時間がたつにつれ、白錆びといわれる腐食が生じます。

これを防ぐには、液体フラックスではなく、非腐食性のペースト(バター状のもの)を使うのが一つの方法です。
ペーストの主成分は油ですが、ロジン(松脂)は常温では非活性(170度前後で活性化するので、半田作業時には酸化膜除去などの役割を果たす)なので、残留しても経時腐食の心配がありません。この非腐食性のペーストの代表的なものが製品名:ノコロデ → ノンコロロイド=非腐食の意味 ) です。(腐食性の少ないものは、鏡用ペーストとして売られています)

とはいえ、コッパーフォイルを巻いたまま、長いこと放置してあったものなどは、液体フラックスでないと上手く半田づけできないことがあります。その場合は@残渣用洗浄液や Aスーパートリックという液体を用い、作業後に半田部分をよく洗浄してください。(布につけこする)
今ご紹介した これらの薬品はこのページに紹介されています。

なお、半田ごてのこて先も、フラックスがついた状態のまま放置すると腐食が生じ、こて先がへこんだり、穴があいたりする結果になります。それを防ぐためには 「こて先洗浄液」をご使用ください。( こて先クリーナーのスポンジにこの洗浄液を数滴たらし、作業後こて先をよく拭く。)

8957:残渣用洗浄液
8955:こて先洗浄液

以上が白いカビを生じないための予防法ですが、既にそうなってしまったものは、金ブラシやスチール・ウールなどでその粉を剥ぎ取るしかありません。よく磨いたのちに、再度パテーナをかけ、パティーナのあとをよく洗浄し、最後にポリワックスなどを塗ってください。

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